プログラマティック広告/バイイング
最近、プログラマティック広告あるいはプログラマティック・バイイング(Programmatic Buying)という言葉を聞くようになりました。
調べてみると、「インターネット広告在庫をより効率的に売買する手法」「データに基づいたリアルタイムな広告枠の自動買い付け」「広告配信側のシステムと広告供給側のシステムを通して、自動的・機械的に広告取引をすること」「広告の取り引き、広告枠の最適化がシステムあるいはプログラムによって自動化されること」「運用型広告とも呼ばれ、DSPやSSPを活用したRTB(Real Time Bidding)がその代表例」「オーディエンスデータを活用し、プラットフォームを介した広告の自動取引」など、様々な説明がされています。プログラム化された広告取引を包括する概念と言えそうです。
また、プログラマティック広告(プログラマティック・バイイング)には様々な用語があり、それらが人によって用法が異なるという指摘があります。
プログラマティック(Programmatic )の取引のやり方について、オンライン広告の業界団体IAB(Interactive Advertising Bureau)は下図の4種類を定義しています。(日本語訳はプラットフォーム・ワンのWebサイトからの引用です。)
表にあるように、同じ取引でも様々なマーケット用語で表現されるようです。
(PROGRAMMATIC AND AUTOMATION – THE PUBLISHERS’ PERSPECTIVE https://www.iab.com/wp-content/uploads/2015/06/IAB_Digital_Simplified_Programmatic_Sept_2013.pdf より)
(株式会社プラットフォーム・ワンhttps://www.platform-one.co.jp/IAB_Digital_Simplified_Programmatic_Sept_2013_JP.html より)
Automated Guaranteed(在庫予約型固定単価取引)は、オークションではなく固定単価で、在庫量、期間予約型の取引です。品質の高い広告枠が確保できる反面、費用対効果を示す指標CPM(Cost per Mille)が高くなってしまいます。
Unreserved Fixed Rate(余剰在庫型固定単価取引)もオークションではなく、あらかじめ決められた価格で行う固定単価制の取引ですが、「在庫量」や「期間」については保証されません。
Invitation Only Auction(招待制オークション取引)は、オークションでリアルタイムに取引しますが、「プライベートオークション」とも呼ばれ、取引先が特定の広告主・代理店に限定されています。
Open Auction(オープン制オークション取引)は、「狭義の RTB(Real Time Bidding) で、SSPが導入されている枠を、DSPを利用している全ての広告主が購入できる形」と言う説明がなされます。聞きなれない言葉でなんのことかよく分かりませんが、SSPはSupply Side Platformの略で、オンライン広告において、広告枠を提供しているメディア(媒体社)の広告枠販売や広告収益の最大化などを支援するツール、DSPはDemand-Side Platformの略で、広告主の広告効果最適化を支援するシステムです。また、インプレッション(impression)保証(※1)はありません。
(※1)広告が表示された回数のことで、広告が1回表示されることを1インプレッション(imp、imps)といいます。PV(page view)と似ていますが、こちらはWWWにおけるアクセス数の単位で、1ページ表示されるのが1ページビューです。
電通のWebサイトのコラムでは、プログラマティックな広告取引の種類を下図のように分かりやすく図式化しています。
(プログラマティック広告取引総整理 ~電通プライベート・マーケットプレイス(PMP)~http://dentsu-ho.com/articles/2990 より)
この図では、IAB(Interactive Advertising Bureau)の定義の言葉とはOpen Auction以外、多少表現が違っていますが、両者を照らし合わせると、Private Auctionは「Invitation Only Auction(招待制オークション取引)、Preferred Dealは「Unreserved Fixed Rate(余剰在庫型固定単価取引)」、Programmatic Guaranteedは「Automated Guaranteed(在庫予約型固定単価取引)」に対応するようです。
プログラマティック広告/バイイングの市場規模
マグナ・グローバル(Magna Global)が2015年9月28日のプレスリリースで公開した報告書では、世界のプログラマティック市場は、2015年は142億ドルで、年平均31%の成長率で力強く成長すし、2019年には368億ドル(約3兆730億円)に拡大すると予測しています。
(MAGNA GLOBAL’s New Programmatic Forecasts http://magnaglobal.com/wp-content/uploads/2015/10/MAGNA-GLOBAL-Programmatic-PR-Sept-2015.pdf より)
イー・マーケター(eMarketer)が2016年9月に発表した報告では、アメリカのプログラマティック広告は、2016年は252億ドルになり、2018年には379億ドルに達すると予測しています。
(eMarketer https://www.emarketer.com/Chart/US-Programmatic-Digital-Display-Ad-Spending-2014-2018-billions-change-of-total-digital-display-ad-spending/196944 より)
2016年12月に発表されたTechnavioのレポート「Global Programmatic Advertising Display Market 2017-2021」では、世界的のプログラマティック広告ディスプレイ市場はCAGR(年平均成長率)18.08%で伸び、2021年には805億ドルの市場規模になると予測しています。
ゼニスが2016年11月28日発表した報告では、「Programmatic will become the principal method of trading digital display this year, accounting for 51% of expenditure, and will rise to 58% of expenditure in 2017. 」と、プログラマティック広告が2016年にデジタルディスプレイ広告支出の51%になり、2017年は58%になると予測しています。
また、プログラマティック広告、米国と英国では70%だが中国は23%にすぎないため、中国で急成長する余地が十分にあるとしています。