デジタルアイデンティティ

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アイデンティティ権

2016年に、SNSで自分になりすました人物を特定するためプロバイダーに情報開示を求めた裁判で、「アイデンティティ権」を認める判断がなされたことが話題になりました。裁判ではアイデンティティ権を「他人との関係で人格の同一性を持ち続ける権利」と定義しています。言葉を換えれば、ネット上においても、その人を特徴づけるその人らしさを侵してはならないということなのでしょう。

アイデンティティ

アイデンティティは、日本語では「自我同一性・自己同一性」とも呼ばれており、心理学者で精神分析家のE.H.Eriksonが青年期の発達課題を「自己アイデンティティ(自我同一性)の確立」として提唱してから一般に広がり、精神分析や心理学の範疇を超えて使われるようになったようです。心理学的には、「自分は何者なのか?」という問いかけがアイデンティティとも言えます。

IT関係で使われるときは、「一致」「識別」という意味で使用されることが多いようですが、前述のようにネット空間での個人を特徴づける情報ともとらえることができそうです。ちなみに「身分証明書」のIDカードのIDとは、identity又はidentifierの略のようですが、一般的には番号や識別子という使い方、つまり「identifier」の意味合いでの使い方といえます。ですがIDを番号や識別子だけでなく、ユーザーの名前や所属、形質(生年月日、性別など)、関係性(学歴、所属など)、趣味などの属性をも投影したいわゆるidentityという意味も含めた捉え方もあるようです。

デジタルアイデンティティ

では、デジタルアイデンティティとは何なのでしょうか?アイデンティティをデジタル空間に投影したものとかデジタル空間における身分、あるいはインターネット上でユーザー本人と証明するためのデータ、インターネットにおける自己の属性情報の塊など様々な説明があります。

ウィキペディアではデジタルアイデンティティを次のように説明しています。

デジタルアイデンティティは、人間などの主体(entity/subject)をコンピュータで処理するためのアイデンティティ情報であり、それぞれの属性情報から成る。

人、組織、デバイス、サービスなど、属性を管理する単位のことをエンティティ(主体)といい、システムに登録されたエンティティに関する属性情報の集合をアイデンティティ情報という。アイデンティティを電子的に表現したものをデジタルアイデンティティという。

(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%86%E3%82%A3 より)

アイデンティティ管理技術解説(2013年1月独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター)では、次のように定義しています。

人のみならずデバイス、サービス等を含めて属性情報を管理する単位となる主体を「エンティティ」(主体)と言います。また、「アイデンティティ情報」はシステムに登録されたエンティティに関する属性情報の集合を言います。・・・・・エンティティのうち、とりわけ自然人と結びつくアイデンティティは、会社や組織におけるアイデンティティ、国や地域における個人としてのアイデンティティ、インターネット上で様々なサービス利用するためのアイデンティティなど、複数のアイデンティティが存在します。それらをデジタルに表現したものを「デジタルアイデンティティ」と言います。

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(https://www.ipa.go.jp/files/000014270.pdf より)

明治大学ビジネス情報倫理研究所のテキスト「あなたがあなたであるために 自分のデジタルアイデンティティをどのように守るのか」では次のように説明しています。

インターネット上に公開されている情報にもとづいて他の人が思い浮かべるあなたの姿やイメージがデジタルアイデンティティです。(大学生版)
インターネットでのあなた自身の姿のことを指します。・・・あなたがインターネットに書いたことやインターネットにのせた写真・動画は、ふつう、どのような人でも見ることができます。そして、それを見てあなたのことを「こんな人なんだな」と考えることでしょう。これがあなたのデジタルアイデンティティです。(小・中学生版)

(http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ethicj/Keeping%20Your%20Identity%20True%20to%20You.pdf  より)

これらの定義から、アイデンティティの対象が必ずしも人だけでなく、会社や組織のアイデンティティということもあるように、デジタルアイデンティティにおいてもその対象となるのは人とは限らないようです。また、対象が人であっても、見る視点が違うとその人を定義する属性が違ってきます。さらに、勤め先が変わるとか、学校を卒業したとか、時間軸で変化することもあります。一人の人が複数のデジタルアイデンティティを持つことになります。

 

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